知覚過敏とは? 原因や対処法・セルフケアを解説
冷たいものや熱いものを食べた際の歯の痛みに悩んでいる方もいるでしょう。
歯が刺激を受けたときに感じる一過性の痛みは、知覚過敏が原因です。
知覚過敏は歯科医院での治療やセルフケアで、症状の緩和が期待できます。
本記事では、知覚過敏の主な原因や対処法・セルフケアを解説します
知覚過敏とは
知覚過敏とは、冷たいものを口に含んだ際や歯ブラシの毛先が触れた際に、一過性の痛みを感じる症状のことです。
正式名称は「象牙質知覚過敏症」であり、刺激がなくなれば痛みはすぐに落ち着きます。
歯はエナメル質・象牙質・神経の3層構造です。
歯の表面に傷が付きエナメル質が剥がれると、象牙質が露出します。象牙質が受けた刺激が歯の神経に伝わり、痛みが生じるのです。
知覚過敏は虫歯による痛みとも似ており、両者の違いを見極めるのは難しいでしょう。
知覚過敏の主な原因
知覚過敏にはさまざまな原因があり、原因の特定には歯科医院の受診が必要です。
まずは、どのような原因があるのかを把握しましょう。
- 歯肉の退縮
- 強い力による歯磨き
- 歯ぎしり・食いしばり
- 歯周病の進行
- ホワイトニング
歯肉の退縮
歯茎が下がり、本来は隠れている歯の根本が露出すると知覚過敏が起こる可能性があります。
歯肉の退縮が起こる原因は以下のとおりです。
- 加齢
- 歯周病
- 強い力によるブラッシング
歯茎に埋まっている歯の根本には、エナメル質がありません。
エナメル質の代わりに、セメント質が歯根をカバーしています。
しかしセメント質は削れやすいため象牙質が露出し、知覚過敏を起こしてしまうのです。
強い力による歯磨き
強い力で歯磨きを行っている方も、知覚過敏になりやすいので注意してください。
歯の汚れをしっかり除去しようとして、強い力で歯磨きを行う方もいるでしょう。
しかし、強い力による歯磨きは、歯のエナメル質が削れる原因です。
普段から強い力で歯磨きをしているなら、力加減を意識しましょう。
歯ぎしり・食いしばり
歯ぎしり・食いしばりも、知覚過敏になる原因の一つです。
日常的な癖になっていると、歯に強い力がかかってエナメル質が削れやすくなります。
また歯に過度な力が加わって根本部分が欠け、象牙質が露出すると知覚過敏を引き起こします。
歯ぎしり・食いしばりは無意識に行われるので、普段から意識して改善するよう心掛けましょう。
歯周病の進行
歯周病は歯肉を退縮させる要因の一つであり、症状が進行すると知覚過敏を引き起こす場合があります。
歯周病は細菌の感染により歯茎に炎症が起きる病気です。
初期の歯周病に自覚症状はほとんどなく、気付いたときには歯茎が下がり歯根が露出します。
症状が悪化すると歯が抜ける可能性もあるので、歯周病が原因の場合はすぐに治療を始めましょう。
ホワイトニング
知覚過敏は、ホワイトニングの副作用として症状が出る場合もあります。
ホワイトニング後は敏感になっており、刺激を感じやすい状態です。
歯の表面にあるペリクルという保護膜が剥がれることで、一時的に刺激を受け取りやすくなります。
ただし、ホワイトニングによる知覚過敏は、ペリクルの再生後には症状が落ち着きます。
知覚過敏の対処法・セルフケア
知覚過敏は普段のオーラルケアや癖を改善するなど、セルフケアで対処できる場合があります。
知覚過敏に悩む方は、自宅でできるケアから始めてみましょう。
- 適切な歯磨きを身に付ける
- 研磨剤が含まれていない歯磨き粉を使う
- 知覚過敏用の歯磨き粉を使う
- 唾液の分泌を促す
適切な歯磨きを身に付ける
歯磨きの力が強すぎると、歯のエナメル質が剥がれやすくなります。
適切な歯磨きの仕方を身に付けて、知覚過敏を改善しましょう。
力が強い方は毛先が柔らかい歯ブラシを使い、小刻みに振動させるように磨きます。
歯ブラシを強く握ってしまう場合は、鉛筆の持ち方で握ってください。
また、歯のエナメル質が溶けてしまう酸蝕症(さんしょくしょう)の予防として、口をゆすいでから歯磨きをするのがおすすめです。
研磨剤が含まれていない歯磨き粉を使う
知覚過敏に悩んでいる方は、研磨剤が含まれていない歯磨き粉を使いましょう。
研磨剤が含まれた歯磨き粉は、歯に付いた色素を落とす効果が期待できます。
歯が白くなることは魅力ですが、一方で歯の表面を傷つけやすく知覚過敏の原因となります。
知覚過敏が気になる方は、研磨剤が含まれていない歯磨き粉を使って様子を見てください。
知覚過敏用の歯磨き粉を使う
自宅で知覚過敏を改善・予防するなら、知覚過敏用の歯磨き粉を使うのもおすすめです。
軽度の知覚過敏であれば、毎日のオーラルケアに取り入れることで症状の緩和が期待できます。
知覚過敏用の歯磨き粉に含まれる成分が、神経に伝わる刺激をブロックするため症状を軽減してくれるでしょう。
ただし使用を中断すると知覚過敏が再発するので、継続が必要です。
唾液の分泌を促す
唾液には、歯のエナメル質を修復するリンやカルシウムが含まれています。
象牙質が露出した状態からの修復は難しいですが、新たな知覚過敏は予防できるでしょう。
唾液の分泌を促すには、よく噛むことが大切です。食事の際には、意識して噛む回数を増やしてみてください。
またガムを噛んで唾液を分泌させるのも効果的です。
知覚過敏に悩んでいるなら歯科医師に相談しよう
歯がしみたり、一過性の痛みを感じたりする場合は知覚過敏の可能性があります。
知覚過敏の原因は、歯肉の退縮や歯周病の進行などさまざまです。
重度の知覚過敏は治療が必要ですが、軽度であれば自宅でのセルフケアで症状の緩和が期待できます。
セルフケアで症状が緩和されない場合は、歯科医師に相談してみましょう。