フッ素塗布は虫歯予防に効果あり? お子さまへの危険性から頻度・流れまで
歯科医院でのフッ素塗布を考えているけれど、実際の効果やお子さまへの危険性、通う頻度などが分からず、踏み出せない方もいるでしょう。フッ素塗布は、歯が生え始めた頃からできる取り組みやすい虫歯予防です。本記事では、フッ素塗布の効果や流れ、目安の頻度などを紹介します。
フッ素塗布とは早期からできる虫歯予防
フッ素塗布とは、歯科医師や歯科衛生士が歯にフッ素を塗布する方法を指します。そもそもフッ素とは、フッ化物と呼ばれるミネラルの一種です。フッ素塗布は虫歯予防に効果的とされ、歯磨きがうまくできない子どもの歯の健康を守るのに重宝します。さらに唾液量が低下してくる高齢者や、矯正治療中の方などにもおすすめです。フッ素塗布は虫歯になりやすい大人から子どもまで幅広く活用できる方法です。
歯科医院では9,000ppmのフッ素塗布が可能
歯科医師や歯科衛生士のいる歯科医院では、9,000ppm(※1)のフッ素が塗布できます。フッ素入りの歯磨き粉やジェル、洗口液など、市販の薬用歯磨き類は、法律で1,500ppm(※2)以下のフッ素濃度と定められています。歯科医院では、自宅で行う場合より高濃度のフッ素を塗布できると覚えておきましょう。
※1参考:e-ヘルスネット(厚生労働省).「フッ化物歯面塗布」.(参照2024-06-17).
※2参考:e-ヘルスネット(厚生労働省).「フッ化物配合歯磨剤」.(参照2024-06-17).
高濃度のフッ素でもお子さまの危険性に配慮
歯科医院で扱うフッ素は家庭で使用するものと比べて高濃度なので、子どもへの危険性が気になる方もいるでしょう。しかし口腔の専門家が取り扱う上、低年齢児に使用する場合は一回の塗布につき薬剤の量を2g以内と、使用量の注意が呼びかけられています。
フッ素塗布の3つの効果
フッ素塗布をすると、虫歯予防に加え、主に3つの効果を期待できます。
再石灰化を促し、虫歯を予防
フッ素がなぜ虫歯予防の効果を期待できるかというと、歯の再石灰化をサポートできるためです。歯の石灰化とは、歯に含まれるミネラルが溶け出し、歯の表面にあるエナメル質が溶けてしまったのを修復することを指します。石灰化を繰り返すことを再石灰化と呼び、この再石灰化を促進するのがフッ素です。
再石灰化が追い付かずエナメル質が溶けてしまうと、やがて虫歯になってしまいかねません。フッ素を塗布すると、食事などで溶けだしたミネラルが、エナメル質に再吸収されやすくなります。
虫歯菌の働きを抑制
フッ素が虫歯予防に効果的なのは、虫歯菌の働きを抑制する役割もあるためです。詳しくいうと、フッ素は歯が溶ける原因となる、虫歯菌が出す酸の量を抑えられます。つまりフッ素塗布は酸で歯が溶けるリスクを軽減し、虫歯予防にも効果を発揮すると考えられるのです。
歯を強くする
フッ素塗布は、強い歯を作ることにもつながります。ミネラルが流れ出にくくなる再石灰化を促し、虫歯菌の働きを抑制できるのがフッ素です。フッ素を塗布すると、虫歯になりにくい健康な歯を目指せるでしょう。
フッ素塗布の流れ
歯科医院でのフッ素塗装は、以下の流れで行われます。
STEP(1)口腔内のクリーニング
STEP(2)歯を乾燥させる
STEP(3)綿棒や歯ブラシでフッ素を塗布
STEP(4)フッ素を拭き取る
歯にフッ素を浸透しやすくするため、あらかじめ口腔内の汚れを取り除いておくのが一般的です。次にコットンなどで唾液などを吸収し、歯を乾燥させます。歯の周辺が乾燥したらフッ素を塗布し、しばらく放置したらフッ素を拭き取って完了です。
フッ素塗布後の注意点
フッ素塗布後はなるべく唾液を飲み込まず、吐き出すように注意しましょう。飲食やうがいも、塗布後30分間は避けるのが基本です。乳幼児にフッ素塗布を行った場合は、ブラッシングや間食の指導も同時に行われることがあります。
フッ素塗布の頻度は1年に2回以上
フッ素塗布を1回受けるだけでは、十分な効果を得られません。厚生労働省は、1年に2回以上の頻度で受けるよう推奨しています(※)。定期的に受け続けると、1回につき約3カ月の効果持続が期待できるといわれています。
なお細かな頻度は、口腔内の状態によって異なるため一概にはいえません。例えば虫歯になりやすい乳幼児期や虫歯になりかけの歯がある場合は、やや早めのサイクルになるかもしれません。フッ素塗布後は、歯科医師の指示に従い、次回の予約を取りましょう。
※参考:e-ヘルスネット(厚生労働省).「フッ化物歯面塗布」.(参照2024-06-17).
【まとめ】
フッ素塗布は歯科医院だからできる虫歯予防
歯科医院で行う高濃度のフッ素塗布は、虫歯になりやすいお子さまから高齢者まで、幅広い層の歯の健康を守る方法です。流れはシンプルで、口腔内のメンテナンス後に歯の乾燥を経て、フッ素を塗布して拭き取れば完了します。
市販されている低濃度のフッ素入り歯磨き類を用いるだけでは、十分な虫歯予防ができるとはいえません。フッ素による危険性が気になる乳幼児に対しては、医師が濃度を工夫してフッ素塗布を行います。歯の健康を保つために、年に2回以上の頻度を目安にフッ素塗布を検討してみましょう。