歯のホワイトニングとは?
歯の黄ばみが気になる方は、歯の内側から色素を分解する「ホワイトニング」治療がおすすめです。アメリカ発祥のホワイトニングは、20年以上にわたって行われている治療法で、歯のアンチエイジングを考えている方や、結婚式を間近に控えている方など、さまざまな患者さんが歯科医院で施術を受けています。
本記事では、歯医者で受けられるホワイトニングの種類や、ホワイトニングが向いている人の特徴、行う際の注意点についてわかりやすく解説します。
ホワイトニングとは?
ホワイトニングとは、黄ばんだ歯を漂白(ブリーチング)し、白くて美しい歯に仕上げる治療法のことです。
人の歯は、外側からエナメル質・象牙質・神経の3層構造になっていますが、このうち象牙質は黄みがかった色をしています。
日本人は一番外側のエナメル質が薄いため、黄ばみを帯びた象牙質が透けやすい傾向にあります。年齢を重ねると、エナメル質はさらに薄くなっていく一方、象牙質は厚みを増していくため、何も対策をしないと歯の黄ばみはどんどん強くなっていきます。
象牙質の黄ばみは、外側からのアプローチだけでは解消できません。そのため、歯の内部を漂白するホワイトニングによる治療が必要なのです。
クリーニングとの違い
ホワイトニングと混同されやすい治療法に、歯のクリーニングがあります。どちらも歯を美しくする方法ですが、歯の内部を漂白するホワイトニングに対し、クリーニングは歯の表面の汚れを落とすことを目的としています。
コーヒーや紅茶、茶渋などのステインや、タバコのヤニなどによる着色汚れを除去することはできますが、象牙の黄ばみを解消する効果はありません。逆に、オフィスホワイトニングを施した歯は、着色汚れがつきにくくなるという研究結果が報告されています。[注1]
きちんと歯磨きしているのに歯の黄ばみが取れないという場合や、着色汚れを防ぎたい場合は、ホワイトニングによる漂白を行うことをおすすめします。
[注1]J-STAGE:ホワイトニング前後における歯質への着色量の変化に関する研究
ホワイトニングの種類
歯のホワイトニングは、大きく3つの種類に分かれます。それぞれ治療内容や治療場所が異なりますので、自分の目的やニーズに合わせて適切な方法を選びましょう。
ここではホワイトニングの種類と、その特徴をわかりやすくまとめました。
1. オフィスホワイトニング
歯科クリニックなどの歯医者で行うホワイトニングのことです。
高濃度のホワイトニング剤を塗布した歯に、LEDやハロゲンなどを照射することで歯を漂白していきます。漂白効果が非常に強いため、わずか1回の施術でも黄ばみの解消を実感できます。
実際は何度か通院し、段階的に歯を漂白していきますが、即効性が高いので、短時間で歯を白くしたい方におすすめです。ただ、急速に歯を白くできるぶん、歯に負担がかかりやすいのが難点といえるでしょう。
漂白の持続効果もあまり長くないので、継続的に歯を白くしたい場合はほかのホワイトニング方法と併用する必要があります。
2. ホームホワイトニング
自宅で行うホワイトニングのことです。ホワイトニング剤を塗布したマウスピースを1日数時間にわたって装着することで、徐々に歯を漂白していきます。
オフィスホワイトニングで使用するホワイトニング剤に比べると成分濃度が低いため、漂白には時間がかかります。そのぶん、歯に負担をかけずに済むところが特徴です。
また、定期的かつ継続的に治療すれば、ホワイトニング効果を長く持続させることができます。
ただ、歯の漂白度合いはオフィスホワイトニングより落ちるため注意しましょう。真っ白ではなく、自然な白色に仕上げたい方におすすめです。
3. デュアルホワイトニング
オフィスホワイトニングとホームホワイトニングを併用する方法のことです。オフィスホワイトニングで強力に漂白しつつ、ホームホワイトニングで効果を持続させることができます。2つのホワイトニングのいいとこ取りをできる一石二鳥の方法といえるでしょう。
歯科クリニックなどの歯医者によってはセット割引が適用されます。オフィスホワイトニングとホームホワイトニングをそれぞれ単体で行うよりも、お得な料金で施術できるでしょう。
ホワイトニングが向いている3つのタイプの方
ホワイトニングが適しているのは、次の3つのタイプの方です。
1. 虫歯や歯周病の治療がお済みの方
虫歯や歯周病が残っている場合、ホワイトニング剤が悪影響を及ぼす可能性があります。すでに虫歯治療、歯周病治療がお済みの方は、安心してホワイトニングを受けることが可能です。
ホワイトニングのカウンセリングの段階で、一度口内環境のチェックやクリーニングを行います。ホワイトニングよりも治療が優先されますので、注意しましょう。
2. 歯のアンチエイジングをお考えの方
加齢にともなう着色や黄ばみがある方、白く若々しい歯の色を取り戻したい方にも、ホワイトニングはぴったりです。
ホワイトニングは歯を削る治療ではないため、咀嚼動作に悪影響を与えることはありません。アンチエイジングをお考えの方は、ぜひ歯のホワイトニングを検討してみましょう。
3. 結婚式などの重要なイベントを控えている方
結婚式を始めとして、重要なイベントを控えている方にも、ホワイトニングが適しています。期日が迫っている場合は、効き目が出るまで2週間程度かかるホームホワイトニングよりも、1回の施術で高い効果が得られるオフィスホワイトニングが最適です。
また、接客業や営業職など、人と人とのコミュニケーションの機会が多い職業の方にもホワイトニングはおすすめです。歯医者で施術を受け、歯を白く美しくすることで、顧客や取引先から好印象を得られます。
なお、妊娠中・授乳中の女性や、マウストレーの材質やホワイトニング剤にアレルギーのある方、無カタラーゼ症やエナメル質形成不全症の方は、施術を受けられません。
ホワイトニングを行う際の注意点
歯のホワイトニングを行う際に気を付けるべきポイントを、3つご紹介します。
1. 差し歯や詰め物はホワイトニングできない
ホワイトニングは天然歯のみを対象とした治療法なので、差し歯や詰め物などの色を漂白することはできません。とくにオフィスホワイトニングの場合、漂白の度合いが強いため、差し歯や詰め物が浮いてしまうおそれがあります。
差し歯や詰め物が目立つ部分にある場合は、ホームホワイトニングのほうが自然な仕上がりになりやすいでしょう。
2. すぐに施術できない場合がある
オフィスホワイトニングは短時間で歯を漂白できるので「結婚式までに歯を白くしたい」など、特定の日までにホワイトニングしたい方におすすめの方法です。
ただ、虫歯や歯周病を患っていたり、たくさんの歯石がついていたりすると、ホワイトニング前に治療やクリーニングを行わなければなりません。
歯の状態によってはホワイトニングを行うまでに日数を要する可能性もあります。定期的に歯医者に通い、日頃から歯のメンテナンスを心がけておくことが大切です。
3. ホワイトニング後、歯がしみることがある
オフィスホワイトニングを行うと、治療後に歯がしみる症状が出ることがあります。症状は数日でおさまるので心配はいりませんが、日常生活への影響が気になる場合はホームホワイトニングを検討するのもひとつの方法です。
ニーズに合ったホワイトニングで美しい歯を目指そう
年齢を重ねると、歯の外側のエナメル質が薄くなり、黄ばみのある象牙質が透けて見えるようになります。象牙質の黄ばみは、歯磨きやクリーニングで除去できませんので、ホワイトニングによる漂白が必要です。
ホワイトニングには、歯科クリニックなどの歯医者で行うオフィスホワイトニングと、自宅で行うホームホワイトニングがありますが、それぞれ即効性や持続性が異なります。
両者の良いところを合わせたデュアルホワイトニングもありますので、ニーズや目的、予算などに合わせて最適な方法を選択しましょう。