親知らずの抜歯は痛くない? 抜歯方法や麻酔方法を解説
親知らずは口の奥にあるために虫歯治療が難しく、放置していると虫歯や親知らず周辺で炎症が起きる智歯周囲炎になる可能性があります。周囲の歯にも影響を及ぼす可能性があるため、他の歯まで虫歯や歯周病などになってしまうのも親知らずを放置するリスクです。
親知らずは歯科医院で抜歯ができます。しかし抜歯をするとなると麻酔や手術中の痛みが気になる方がいるかもしれません。本記事では、親知らずを抜歯する際の一般的な方法や痛くないとされる麻酔方法などを解説します。
親知らずの抜歯には一般的に局所麻酔が用いられる
親知らずを抜歯する際に一般的に用いられるのが局所麻酔です。局所麻酔では、歯茎に直接注射で麻酔液を入れます。麻酔が効くと手術中に痛みを感じることは少ないです。
ただし抜歯後に麻酔が切れると、ずきずきとした痛みを感じる可能性があるため、鎮痛剤を処方されるのが一般的です。痛みの他に腫れが手術後2~3日程度続くことがありますが、だんだんと落ち着いていきます。
痛みや腫れが強い傾向にあるのは、下の歯を抜いたケースです。下の歯を抜いた場合、痛みや腫れの強さだけでなく唇のしびれも発生する可能性があります。下唇にしびれが発生したとしても、症状は消えていくのが一般的です。しかし下歯槽神経麻痺などのケースにおいては、しびれが長引く場合もあります。
局所麻酔をした後の抜歯は、親知らずが生えきっているか、埋まっているかで方法が異なります。それぞれの場合に分けて、抜歯の流れを解説します。
親知らずが生えきっている場合の抜歯
親知らずが生えきっている状態で抜歯をする場合、斜めや横に生えているケースであれば、局所麻酔後に周りの歯肉の切開が必要です。切開後、専用の器具を用いて親知らずを抜いていきます。
抜歯時に独特の音がするため不快感を覚える可能性があります。
親知らずが埋まっている場合の抜歯
親知らずが骨の中に埋まっている場合は局所麻酔後、歯肉を切開した上で骨に穴を開けていきます。骨の中に埋まった親知らずの頭が見えたら専用の器具で歯を分解し、少しずつ取り出していきます。骨を削る際にガリガリと音が鳴るため、不快に思う方がいるかもしれません。
なお親知らずが深くに埋まっている場合は手術の途中で麻酔の効きが悪くなり、手術中に痛みを感じる恐れがあります。また歯肉を切開する範囲によっては、親知らずが生えきっている場合よりも痛みや腫れが出やすい傾向にあります。
静脈内鎮静法は親知らずの抜歯が痛くない?
先述の通り親知らずを抜歯する際は、局所麻酔が用いられるのが一般的です。しかし術中に痛みを感じる恐れがあり、親知らずを一度の手術でまとめて抜歯しようとすると、手術時間が長引き体に負担がかかってしまいます。3本以上抜く必要がある場合は、基本的に左右2回に分けて抜歯を行います。
より痛くない方法で親知らずを抜きたい場合に用いられることがあるのが、静脈内鎮静法です。静脈内鎮静法は点滴で鎮静剤を投与し、体を眠ったような状態にしてリラックスさせる方法です。静脈内鎮静法は全身麻酔と異なり、患者様が自発呼吸を停止することはありません。完全に意識を失うのではなく、医師からの問いかけに応答できる程度の意識がある状態です。
静脈内鎮静法によって体が眠ったような状態になったことを確認してから局所麻酔を施すので、注射の痛みも抑えられます。眠っているような状態になるので、所要時間が短く感じられるため親知らずをまとめて抜歯することも可能です。また痛みだけでなく、抜歯時の音による不快感や恐怖心などを和らげる効果も期待できます。さらに静脈内鎮静法であれば、点滴で痛み止めや腫れ止めも投与できるため、術後の痛みや腫れの軽減も期待できるでしょう。
静脈内鎮静法を受ける際に注意すべきなのは、保険適用外という点です。自費診療のため、保険適用の局所麻酔よりも費用がかさんでしまいます。
【まとめ】
親知らず抜歯時の痛みや不快感を抑えるなら静脈内鎮静法も検討しよう
一般的に親知らずを抜歯する際に用いられる麻酔方法は局所麻酔です。局所麻酔は基本的に痛みを感じるケースは少ないですが、親知らずが深くに埋まっていると手術時間が長くなり、麻酔の効きが悪くなった場合には痛みを感じる可能性があります。加えて術後は痛みや顔が腫れるケースもあります。
より痛くない方法での親知らず抜歯を希望するのなら、静脈内鎮静法を検討してみましょう。静脈内鎮静法であれば眠ったような状態になるので手術時間が短く感じられます。痛みを感じにくくなる効果が期待できるため、3本以上の親知らずを一気に抜いて通院回数を減らしたい方に適しています。また静脈内鎮静法であれば点滴で、痛み止めや腫れ止めも同時投与することが可能です。なるべく痛くない方法で親知らずを抜きたいと考えている方におすすめです。